ミュウミュウ「ヴィヴァン」新色のマットな革に惹かれたが、サイドリボンのバッグまで並べると悩みが増えた

 アンティークカーフレザーのマットな質感、という一文がずっと頭に残っている。ミュウミュウの「ヴィヴァン」バッグの、2026年秋冬の新色に添えられた説明の一部だ。ツヤのある革は、新品のうちは美しくても、小さな傷や指紋が光を拾って目立つことがある。マットな革は、それが比較的目立ちにくいというのが一般的な傾向だ。だから私が気になったのは色味よりも、傷がついたときの育ち方だった。使うほどに表情が深まる革なのか、それとも傷がただの傷に見えてしまう革なのか。実物を手に取る機会はまだないので結論は出せないが、この質感の一文だけで、あれこれ想像して楽しめてしまう。


新色は、落ち着いたグリーン、スモーキーなブルー、グレー、コニャックブラウンの四色。派手な色は一つもなく、全体にトーンを抑えている。流行色を追いかけるというより、数年後も浮かない色を選んだ印象だ。



ヴィヴァンはボウリングバッグを再解釈したバッグで、広々として機能的なプロポーションが特徴とされている。ボウリングバッグ型といえば、横に長く、口が大きく開いて、荷物の出し入れがしやすいというイメージがある。書類やポーチ、折りたたみ傘までまとめて放り込めるのは、日常使いでは強い味方だ。ただ、肩にかけたときの横幅が広くなるため、満員電車や狭い店内では出っ張りやすい形でもある。ハンドルの長さや具体的なサイズは今回の情報には載っていないので、そこは公式サイトで寸法を確認したい。広々としたバッグは「入れすぎて重くなる」失敗に直結しやすい。入れられることと、入れていいことは別なのだと、買う前に自分に言い聞かせておく必要がある。


色の中で私が一番心を動かされたのは、コニャックブラウンだ。マットな革と茶系の相性は素直にいいと思うし、黒や紺の服が多い秋冬のワードローブに足すだけで、全体の温度がふっと上がる。デニムにもグレーのパンツにも合わせやすいはずで、使い回しの面でも優秀そうだ。グリーンも魅力的だが、手持ちの服との相性を考えると難易度が高く、買ってから「合わせる服がない」と気づく失敗が目に見える。グレーとスモーキーブルーは上品ではあるものの、説明を読む限り、コニャックの前ではどうしても印象が薄れる。四色を平等にほめることは、ここではしない。選ぶなら一つ、コニャックブラウンだ。


ボウリングバッグ型で比較したいのは、プラダだ。プラダにもボウリングバッグ型の定番があり、ナイロンの軽さや都会的な空気感が得意なブランドである。軽さと雨への強さを最優先するなら、素材の面でナイロン系に分があるのは一般論として確かだろう。一方、ミュウミュウのヴィヴァンは、革のマットな温もりで勝負している。街で浮きたくないけれど、少しだけ人と違う革のバッグがほしい、という気分なら、ヴィヴァンのほうがしっくりくるのではないか。結局のところ、軽さを取るか、温かさを取るかという、わりと単純な二択に落ち着く。ここを曖昧にしたまま買うと、あとで必ずどちらかが気になってくる。


さて、サイドにリボンをあしらった「リボン」バッグ。こちらはヴィヴァンと対照的に、艶やかな光沢をまとったレザーで仕上げられている。正直、リボンが横にくっついたバッグは「かわいいけれど、使いにくそう」という第一印象を持ちやすい。ただ、説明を読むと、長めに取られたハンドルや、ジップ付きの開き口といった実用的なディテールが並んでいて、意外なほど現実的なつくりに思える。ジップがあるのは地味に嬉しい。口が閉まるだけで、電車や人混みでの安心感がまるで違うからだ。この点に関しては、リボンのほうがヴィヴァンより評価したい部分で、見た目の甘さに対して中身は意外と堅実だと言える。


ミニサイズにはショルダーストラップが付いていて、クロスボディとして使える。両手が空くのは、買い物や旅行の日には本当にありがたい機能だ。ただ、ストラップの長さ調整ができるかどうかは情報にないので、身長によってはここも確認が必要になる。



とはいえ、サイドのリボンは邪魔になる場面もありそうだと思う。バスの手すりや人の鞄との接触、座ったときにリボンが潰れる問題。立体的な飾りは、使えば使うほど形が変わるリスクを抱えている。毎日の通勤用なら、飾りのない、ロエベやセリーヌのような静かなバッグのほうが、結局は長く付き合えるかもしれない。だからリボンは、休日や、予定のある夜に連れ出す「特別枠」と割り切ったほうが後悔が少ない気がする。逆にヴィヴァンは、余計な飾りがないぶん日常使いに寄せやすい。ここまで書いて、自分がだいぶヴィヴァン寄りの人間だと気づいてしまった。


それでも、二つの間で迷っている。ヴィヴァンのコニャックブラウンか、リボンのミニか。実用性ならヴィヴァン、気分の高揚ならリボンと、はっきり役割が分かれているぶん、かえって決めにくい。クロスボディにできるミニは、手ぶらに近い身軽さで出かける日に魅力的だ。かといって、毎日の相棒をミニだけで賄うのも現実的ではない。価格も今回の情報には含まれておらず、金額を見た瞬間に結論が変わる可能性も高い。そもそも、買わないという選択肢も、ちゃんと残している。そこだけは正直、保留にしておく。


最後に、頭に浮かんだ光景をひとつ。十一月の夕方、ネイビーのウールコートに、コニャックブラウンのヴィヴァンを肩にかけて、少し早足で駅へ向かう。バッグの中身は、文庫本と、折りたたみ傘と、少しの化粧品くらいがちょうどいい。マットな革は街灯の下でも主張しすぎず、色だけが静かに落ち着いていく。そんな画が先に浮かんだ時点で、私の気持ちはもうヴィヴァンのほうへ傾いているのだろう。

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